お金を貯めたいと、主婦雑誌や節約本を見たことはありませんか?それらなどを見ますと、食費節約などのレシピのアイデアが満載で、ガマン系の特集も多く見られます。食べたいものはガマン、使わないコンセントは毎回抜いて、トイレの水はお風呂の残り湯で流す、そのほか究極な内容の節約術まで実践している方もいらっしゃるようです。
ただし、生活に制限があり、見た目も美しくないなど、何より精神的にも貧しく感じてしまい、心がすさんでしまいそうなものまでもありました。エコな生活を楽しめる方ではないと面倒かもしれません。共働きが多い現代社会では、面倒で時間がかかることをするより、ゆっくり休みたい、家族の時間を楽しみたいと思っている方々が多いのではないでしょうか?何より、筆者はズボラなため、上記で紹介した節約術はひとつも実行できそうにありません。
極度の節約は、ダイエットと同じで、ストレスによりリバウンドしてしまう可能性が高くなります。節約する本人が気持ち良く、無理なく実行出来る方法でなければ意味がありません。
そこで今回は、ファイナンシャルプランナー直伝「お金を貯める3つの法則」をご紹介します
【法則1】支出を減らす
支出を減らすと聞くと、皆さん、食費や水道光熱費、お小遣いを減らすと思われるかもしれません。使い過ぎていらっしゃる方は、食費などのその月によって支払う金額が違う支出(変動費)も見直さなければならないかもしれませんが、これらの変動費を見直すのは最後の最後です。なぜならば、ダイエットと同じでリバウンドの可能性があるからです。最初に支出を減らすために取り組むのは、ズバリ!毎月支払額が変わらない「固定費」からです。
固定費には、例えば「生命保険」があります。あなたは、万が一のことが起こった場合に、身の丈以上の生活を送れるほどの多額の生命保険に加入してはいませんか?生命保険に加入しておけば安心だと、同じような生命保険に複数を加入しているご家庭もあります。生命保険の役割は、万が一のことがあった場合に残された家族が、その後の生活に困らないように足りない金額を生命保険で備えることなのです。生命保険は、みんなが同じ保障額が必要な訳ではありません。例えば、賃貸住宅に住んでいる場合と、持ち家に住んでいる場合でも必要な保障額が異なります。
賃貸に住んでいる場合は、家賃を支払っている方が亡くなった場合でも、賃貸の家賃をずっと支払わなくてはなりませんので、今後の住居費の分も上乗せして、生命保険に加入する必要があります。
その一方で、持ち家で住宅ローンを支払っている場合、一般的に住宅ローンと一緒に団体信用生命保険に加入していることが多く、住宅ローンの契約者が亡くなった場合、団体信用生命保険にて住宅ローンが完済される仕組みになっています。団体信用生命保険に加入しているのにも関わらず、住宅ローンの分を通常の生命保険で準備していたとすれば、生命保険として重複していますので、その分は削減することができます。
そのほか、ひと昔前までは、公的年金を考慮しない生命保険の販売も行われていた時代があり、公的年金を貰えない前提条件での生命保険金額にて加入しているケースもあります。実際に万が一のことが起こった場合、会社員の場合、公的年金として遺族基礎年金や遺族厚生年金などがあります。その分は生命保険で準備する必要はありません。毎年、皆様の誕生月に日本年金機構より「年金定期便」が送られてきますので、現時点での年金額を確認することができます。
もし、どのくらいの生命保険が適正か判らない場合は、公的年金に精通したファイナンシャルプランナーなどの専門家などに相談してみるのもよろしいでしょう。公的年金なども考慮した上で、必要な保障額を試算してくれます。ぜひ、生命保険は必要な分だけ加入しましょう。
また、「固定費」として、「住宅ローン」もあります。もし、住宅ローンの金利が高い時に組んでいた場合、住宅ローンの借換えを検討してみましょう。また、最近の携帯電話やインターネット等の通信費も目まぐるしく変わっておりますので、現在の自分に合っているプランであるのか、1年に1回ほど見直してみるのも良いですね。他には、電気料金の基本料金プランが合っているのかどうかも確認してみましょう。今は色んな業界が自由化となっておりますので、色々と調べて自分に合ったものをチョイスしてみましょう。
そして、固定費の中には色んな会員費等も含まれます。利用していないスポーツクラブや利用していないサービスの会員費はありませんか?携帯電話のアプリやコンテンツで毎月継続課金になっているのに使っていないサービスはありませんか?
これらの固定費の見直しは、一度見直すと毎月、支出削減が続くものです。主婦雑誌の節約方法を試す前に、ぜひ、固定費の削減をしてみましょう。
固定費見直しで支出を減らして
将来に備えましょう。
【法則2】資産を運用する
自分のお金にも働いてもらいましょう。運用利回りを上げることで、貯蓄残高の目減りを防ぐのも方法のひとつとなります。
資産運用と言ってもリスクが怖いと一歩を踏み出せない方も多くいることも確かです。資産運用は、リスクの高いものから低いものまで、本当に様々なものがあります。もちろん、株式購入の場合であれば、ひとつの企業に投資をする訳ですから、万が一、投資した企業の業績が悪くなり倒産などする場合もありますが、今は株式と違い少額から分散投資で始められる投資信託という金融商品があります。
投資信託とは、①金融の専門家が皆様の代わりに運用してくれますので、専門的な知識が少ない方でも始めやすく、②まとまった資金が無くても、数千円程度からの少額で始めることができ、③投資信託は一か所ではなく分散投資をしている商品ですので、株式と違いゼロになることは殆どありません。投資信託は、少額から始められますので、資産運用初心者でも始めやすい商品です。まずは、投資信託から資産運用を始めることを考えてみましょう。
日本人は先進国の中で資産運用に対してあまり積極的ではありません。ただし、日本でも自分の将来と向き合っている方が年々増えており、資産運用の勉強をしながら始めております。その背景として、人生100年時代に突入していることや、若ければ若いほど将来の公的年金が減らされていく可能性があり、資産運用を避けて通れない時代に変わってきています。ぜひ一日でも早く資産運用の勉強を始め、無理のないように少しずつ資産運用を始めてみましょう。
【法則3】収入を増やす
法則の3の収入を増やすことは、全ての方が行うことは難しいかもしれませんが、実行に移すことが可能な環境や状態にある方は、ご検討頂ければと思います。もしあなたが専業主婦であればパートを始めてみる、パートで働いている方はフルタイム勤務や正社員を目指してみるのもよろしいでしょう。家計全体の収入を増やすことを、家族全体で労働時間を上げることで可能になる方は、ぜひ検討ください。今は、女性も出産や育児などで退職をせず、ご自身のためにもキャリアを積み重ね、自立し仕事を続けていく女性も増えています。女性が自立をしてキャリアを積み重ねながら仕事を続けることは、愛する夫に万が一のことがあった場合に、少しでも家計を守るための戦略のひとつでもあるのです。
また最近は、共働きの方も増えてきました。厚生労働省「専業主婦世帯と共働き世帯の推移」によると、共働き世帯の家庭が専業主婦世帯よりも約2倍近くに増え、約3人に2人は共働き世帯です。もしあなたの企業に資格手当などがあれば、積極的に取得して給与を増やすという方法もあります。
なお、今の30代の方は老齢年金(国からの公的年金)の給付開始は65歳となりますが、今の60代の方を見ても、お年寄りという印象はなく、皆さん、若々しい方が大勢いらっしゃいます。そのため、働けるうちは働くという選択があなたの人生をより良いものにしていくでしょう。
もし月額5万円の収入だったとしても、65歳から70歳まで働いたら300万円になります。夫婦二人なら600万円です。ここで働くと言っても、ガムシャラに働くのではなく、趣味と実益を兼ねたものをお勧めします。何よりも、家でゴロゴロしているよりも健康的です。将来的に、ご自分が介護を受ける側になることも想定において、足腰を弱らせないためにも、積極的に外に出て、趣味の活動などを通して頭や体を動かすという考え方が、今はスタンダードになりつつあります。
人生100年時代とも言われてきておりますので、定年後は社会と繋がる意味合いでも、健康でいるためにも、趣味の延長線上で働けないかどうか、現役世代に何か準備しておくことをお勧めいたします。
最後に、ここまで3つの法則をご案内いたしましたが、全てを実行に移すことが可能な方もいらっしゃれば、全てを実行に移すことが困難な環境や状態にある方もいらっしゃるかと思います。3つとも出来ないから諦めるのではなく、少しでもいいので出来るところから、始めてみて欲しいと思います。
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ファイナンシャルプランナー伊藤 美恵
元証券会社窓口や生命保険会社等にて相談業務に従事。
現在は独立系FPとして顧問業・相談業務・セミナー講師・執筆等を行う。エフエムたいはく「幸せ生活向上委員会」ラジオパーソナリティー。